台風21号の高潮被害で復旧の遅れていた全日本空輸の輸入上屋が週内にも施設屋根の修理を終えて10月29日から再開すると発表された。輸入上屋の再開に伴い、31日にはこれまで受託できていなかった外国籍航空会社の貨物便搭載分の受託を一部再開する。
全日空は輸出・輸入の両上屋で施設屋根や電源設備が損傷を受けたが、9月21日から条件付きで自社旅客便搭載分を対象に上屋業務を再開。その後、受託対象を自社貨物便や外航の旅客便搭載分へと段階的に広げてきた。しかし、特に損傷が大きかった輸入上屋は施設屋根や電源設備の修理が必要で、現在は利用できない状態。輸出上屋で輸出入双方の貨物を取り扱わざるを得ない状況から、自社旅客便のうち、一部中国路線や外航の貨物便への搭載分の受託は見合わせていた。
まず30日発着分から自社旅客便のうち、貨物を取り扱えていなかった、大連、青島、杭州発着便の受託を再開する。上屋での貨物の引き受けは29日より開始する。これで中国発着の自社旅客便全ての取り扱いが再開することになる。
10月29日から関空発に限定して冷蔵貨物の引き受けも始める予定。ただ、トラック便や国内航空路線への接続は行っていない。全日空の輸入上屋は、施設自体の完全復旧には時間がかかりそうだが、施設屋根の修理が終わるため、仮電源を利用して早期にフル稼働に近づけることを目指している。
また、被災前に受託していた濡損貨物が残っており、引き続き早期の引き取りを呼び掛けている。同社は9月5日から10月31日までの濡損貨物の保管料金は特別措置として求めないが、11月1日以降は通常の保管料金を適用するとしている。