1996年末、日本で最初の求荷求車システムが開発されたことを皮切りにITバブルの流れに乗って同類のシステムが開発された。2000年頃のピーク時には50近いウェブサイト運営があったという。
インターネット上にシステムが設立されたとはいえ、当時はシステムの情報をもとに当事者同士もしくはサイト運営者のコールセンターなどを通じ、詳細情報をやり取りして 成約に至るというケースがほとんどだった。
システムを運営する企業は主にIT、物流、総合商社や大手メーカーの物流子会社のような荷主企業。それらの大半が1年程で姿を消した。
撤退の背景はそれぞれの分野で特色がある。IT企業が運営するシステムは物流市場への理解が欠けていた。例えば匂いのある生鮮食品を運んだ帰りのトラックに アパレル製品を扱う荷主とマッチングさせてしまう、というようなことだ。 一方市場を理解する物流業者が運営するシステムは運賃競争力に欠けた。 積載率が向上しても市場全体の下落に繋げる訳にはいかない。
荷主企業系のシステムは人材不足が問題だった。上記の課題をクリアできても物流市場を監視し、取引をコントロールするだけのノウハウは彼らにはなかった。
今日ベンチャー企業や中小運送企業の参入が目立つのは「シェアリングサービス型」の配車マッチングサービスである。例えば2015年からサービスを開始した「ハコベル」は集荷・配送先の住所、荷量、積み下ろしの作業時間が分かれば経済的な最適なルート、車両台数、配送の所要時間を簡単に試算できるシステムを開発した。
物流版Uberと呼ばれるPickGoは軽貨物ドライバーと荷主をマッチングさせる。登録ドライバーが、荷主によって登録された仕事を選ぶシステムで、アプリでの対応も可能だ。マッチングまでのスピードは15分以内、ドライバーへの評価が残る機能は品質維持・向上へも一役買っているという。
当初のシステム開発から約20年、使用感の大幅な改善が求荷求車サービスの再興に貢献しているようだ。